サーバーレスによるサービス向上
私たちは、お客様が自身にとって最大のデータの課題を解決するためにElasticsearch®を使用する方法にいつも驚かされています。これは、40億回以上ものダウンロード、7万件以上のコミット、1,800人以上のコントリビューター、そしてグローバルコミュニティからのフィードバックにおいて明らかです。Elastic®は幅広いユースケースで役割を果たしているため、当社は複雑さを低減する目的で、より簡単に検索を利用して当社のあらゆるソリューションを最大限に活用できるようにしました。このため、新しいサーバーレスアーキテクチャーでElasticsearchの可能性を広げられることを嬉しく思っています。新しいサーバーレスアーキテクチャーは、運用上の責任を簡素化するほか、Elasticsearchの特長として知られる高速なパフォーマンスをスケーラブルなオブジェクトストアに拡張します。また、検索、オブザーバビリティ、セキュリティのための専用製品エクスペリエンスによって、ワークフローを合理化します。これは、当社の既存のオンプレミスおよびElastic CloudデプロイとともにElasticを使用する新しい方法です。
データさえ用意すれば、後はサーバーレスが処理
当社は今後10年のことを考えると、超高速のパフォーマンスを実現しながらもユーザーエクスペリエンスをシンプルにする必要があると認識しています。多くのElasticユーザーがデプロイやスケーリングを完全に制御したいと考えている一方で、よりシンプルさを求めているユーザーもいることがわかっています。SOCアナリストは、脅威検出の向上のためにシャードをスケーリングすることではなく、組織を保護することを望んでいます。開発者は、クエリを高速化するためのインフラを調整することではなく、検索アプリケーションを開発することを望んでいます。SREは、ダウンタイムを最小限に抑えるための構成を設定することではなく、オンラインで信頼性を確保することを望んでいます。私たちはクラスターの管理が大好きですが、お客様は必ずしもそうではありません。Elasticのサーバーレスアーキテクチャーを使用すると、運用上の責任から解放され、クラスターの管理や、シャードの設定、スケーリング、ILMのセットアップが不要になります。データとクエリさえ用意すれば、プラットフォームがスケーリングと管理をすべて処理してくれます。
より高速なスケーリングと長期間のデータ保持を実現しながら、同時にコストのバランスをとって複雑さを軽減するのは無理だと何度も言われ続けてきていませんか?ところが、それが可能になりました。多くのワークロードでは、スケーリングとスピードの両方が重要です。SolarWindsなどで行う滞留期間の長い脅威の調査であれ、数百のサービスにわたる障害の根本原因の特定であれ、ベクトル検索を使用した検索拡張生成による生成AIワークロードの強化であれ、どちらも重要です。
そのため、当社のサーバーレスアーキテクチャーは、再設計されて生まれ変わったElasticsearchに基づいています。コンピューティングはストレージと完全に分離され、オブジェクトストレージが利用されています。クラウドオブジェクトストアを使用すると費用対効果の高いスケーリングが可能になりますが、レイテンシが生じるため、スピードを高める新しい技術が必要です。幸いなことに、当社には効率的なキャッシングのためにElasticsearchとLuceneのインデックスデータ構造を最適化してきた長年の経験があり、高度なクエリ時間並列化と組み合わせて、このレイテンシの課題を解消することができます。つまり、組み込まれた制御機能を使用して、スピードとスケーリングの両方を発揮し、スピードとコストのバランスを簡単にとることができます。
未来のための新しいElasticアーキテクチャー
Elasticの新しいサーバーレスアーキテクチャーは、Elasticsearchを抜本的に見直した証です。これは、最新のクラウドネイティブサービスを活用し、管理に手間のかからない最適化された製品エクスペリエンスを提供するよう構築されていました。データレイクのストレージ容量を提供しますが、Elasticsearchと同様の高速な検索パフォーマンスを発揮します。また、クラスター管理とスケーリングが自動のため、運用がシンプルです。このアーキテクチャーの根底には、次の4つの原則があります。
- 分離されたコンピューティングとストレージ
- 別個の検索ティアとインデックスティア
- レコードシステムとして安価なオブジェクトストレージ
- 低レイテンシのクエリ
完全に分離されたストレージとコンピューティング
クラスタートポロジーを合理化するために、コンピューティングとストレージは完全に分離されることになりました。Elasticsearchは現在、データとハードウェア要件が適切に一致するように、さまざまなデータティアを提供しています(Hot、Warm、Cold、Frozen)。サーバーレスアーキテクチャーでは、ストレージとコンピューティングを分離することでデータティアリングを廃止し、よりシンプルな運用を実現します。たとえば、サーバーレスではHotティアとFrozenティアが統合されます。Frozenティアのインデックスは、検索頻度の低いデータを大量に格納できますが、Hotティアと同様に、いつでもデータを更新したり即座にクエリしたりできます。
さらに、検索パフォーマンスとストレージのコスト効率のバランスをとることができる、シンプルな制御機能があります。これにより、パフォーマンスに一切妥協することなく、迅速かつ確実な方法で、あらゆるワークロードを個別にスケーリングできます。
別個のインデックスティアと検索ティア
Elasticのサーバーレスアーキテクチャーは、複数のワークロードを管理するのにプライマリとレプリカのインスタンスを利用することはせず、独立したインデックスティアと検索ティアをサポートします。このように分離することで、ワークロードを個別にスケーリングできるほか、ハードウェアをユースケースごとに選択して最適化できます。
さらに、この手法であれば、検索とインデックスのワークロードが互いに干渉するという根強い問題を効果的に解決できます。それにより、あらゆる検索ユースケースやワークロードでパフォーマンスとコストの両方を最適化することが容易になります。こういった特性は、高負荷の検索によってインデックスオペレーションが阻害されることを避けたい大量ロギングユーザーやセキュリティユーザーにとって重要であるほか、検索パフォーマンスに影響を与えることなく、高負荷のインデックス時間機能を使用して関連性と検索パフォーマンスを高めたいユーザーにとっても重要です。
手頃な価格のオブジェクトストレージ
サーバーレスアーキテクチャーでは、安価なオブジェクトストレージを利用することで、スケールを拡大するとともにストレージコストを抑えています。永続化を目的としてオブジェクトストレージを活用することで、Elasticsearchは持続性のために1つ以上のレプリカにインデックスオペレーションを複製する必要がなくなりました。これにより、インデックスのコストとデータの複製を減らすことができます。代わりに、オブジェクトストレージによってセグメントが永続化され、複製されます。それにより、さまざまな要件での効率が高まります。たとえば、ローカルディスクに格納されるデータを最小限に抑えることで、インデックスティアのストレージコストが減少します。サーバーレスアーキテクチャーはオブジェクトストアに対して直接インデックスを行うので、ローカルに保持されるデータはごく少量で済みます。追加のみの操作を伴うシナリオの場合、特定のメタデータのみがインデックス目的で保持されるので、結果として、インデックスのために必要とされるローカルストレージが相当少なくなります。
低レイテンシの大規模クエリ
オブジェクトストレージは大量のデータに対応できますが、そのスピードや低レイテンシについては知られていません。Elasticはどのようにしてオブジェクトストレージを使用して優れたクエリパフォーマンスを維持しているのでしょうか。当社は高速なパフォーマンスを提供するために、いくつかの新しい機能を導入しました。セグメントレベルのクエリ並列化によって、オブジェクトストレージからのデータ取得時のレイテンシが低減します。これにより、データがローカルキャッシュにない場合に、より多くのリクエストをS3などのオブジェクトストアに速やかにプッシュすることが可能になります。キャッシングも、再利用を行ったり、データタイプごとに最適なLuceneインデックス形式を利用したりして、「よりスマート」に実行されるようになっています。これらは、オブジェクトストアとキャッシュレイヤーの両方で大幅なパフォーマンス向上をもたらす新機能のうち、ほんの一部にすぎません。
サーバーレスで専用製品を使用して作業をスマートに
当社はこの機会に、検索、オブザーバビリティ、セキュリティのためのサーバーレスアーキテクチャー用のカスタム製品の開発も行っています。その目的は、ユーザーエクスペリエンスを合理化して、各ワークフローに固有なニーズに対して最適化することです。これには、より高速な継続的オンボーディングや、より緊密な機能統合、各ユースケースの作業に対するカスタムインターフェースの最適化などがあります。各製品の主要なハイライトは次のとおりです。
- 検索:サーバーレス検索エクスペリエンスの焦点は、開発者が卓越した検索エクスペリエンスを設定なしで迅速かつ簡単に作成できるようにすることにあります。APIが中心となっていて、データをElasticsearchにインジェストして取り入れる簡単な方法と組み合わせることができます。これらのパイプラインは、変換などのタスクをすばやく完了できるようにシンプル化されています。初期の学習の苦労と、タスクを完了するために必要な手順を減らすために、Java、.NET、Pythonなどの新しい言語クライアントがインラインドキュメントとともに作成されています。開発者がもっと速やかに価値を得られるように、力を合わせて合理的な開発者エクスペリエンスを作成しています。
- オブザーバビリティ:サーバーレスのオブザーバビリティは、サイトリライアビリティエンジニアが重要な作業、すなわちシステムとアプリケーションの信頼性の確保に専念できるようにします。価値提供までの時間が重要な思想となっていて、合理的なオンボーディングエクスペリエンスがデータのインジェスチョンプロセスと機械学習/AIOpsをシンプルにしています。これにより、SREが異常な振る舞いを速やかに特定して根本原因をすばやく突き止められるように支援します。コアコンポーネントの1つは新しいマネージドインテークサービスです。このサービスは、OpenTelemetryおよびElastic APMデータの受け取り、処理、インデックスを容易にします。クラウドネイティブなオブザーバビリティのニーズを満たすように自動的にスケーリングし、信頼性とレジリエンスを常に確保するように完全に管理されるマルチテナントアーキテクチャーの上に、各サービスが構築されています。
- セキュリティ:サーバーレスのセキュリティは、セキュリティログのインジェスト、ダッシュボードの表示、検知ルールの有効化、アラートの調査をユーザーに案内する新しい継続的なオンボーディングを軸として展開されます。組み込まれた「進捗トラッカー」は、セキュリティ分析/SIEM、エンドポイントセキュリティ、クラウドセキュリティなど、固有のユースケースを最適化するように調整されています。ナビゲーションはセキュリティを重視して作られており、すべてのセキュリティ関連の機能が常にすぐに使える状態です。Elasticセキュリティの機械学習機能は、あらゆるセキュリティプロジェクトで有効になっています。たとえば、自動化された検知ルールや仮説ベースの脅威ハンティングで機械学習ベースの異常検知が使用可能です。インジェストされたすべてのデータに対して、精選された調査や探索とアドホックな調査や探索の両方を実施することができます。
試用をご希望のお客様はぜひお問い合わせください
Elasticのサーバーレスアーキテクチャーと製品は、既存のデプロイオプションに加えて、膨大な履歴データに対しても超高速な検索を可能にする将来の複雑なデータおよびコンピューティングワークロードの基礎を構築します。また、それと同時に、検索、オブザーバビリティ、セキュリティを目的とするElasticsearchのあらゆるイノベーションを利用する最も簡単な方法を提供します。Elasticのサーバーレスアーキテクチャーは、シンプルさ、パフォーマンス、スケールのビジョンを実現し、以下を提供します。
- 専用製品エクスペリエンス:検索、セキュリティ、オブザーバビリティのために最適化されたカスタム製品で、作業の効率を向上させます。
- 手間のかからない運用:運用上の責任から解放されます。バックエンドインフラストラクチャーの管理やキャパシティプランニング、アップグレード、データのスケーリングを行う必要はありません。
- 分離されたスケーラブルなアーキテクチャー:確実かつ独立した方法でワークロードを自動的にスケーリングします。需要の変化にリアルタイムに対処し、レイテンシを最小限に抑えて、確実に最短で対応します。
- 迅速な開発と提供:すぐに利用を開始して、長期にわたってデータをクエリするための高速で手頃な価格のオブジェクトストレージで拡張できます。パフォーマンスとコストを管理できる制御機能を使って簡単にスケーリングします。
ぜひ当社のサーバーレスビジョンに参加し、他のお客様に先駆けて製品をお試しください。今すぐ早期アクセスに応募する。
本記事に記述されているあらゆる機能ないし性能のリリースおよびタイミングは、Elasticの単独裁量に委ねられます。現時点で提供されていないあらゆる機能ないし性能は、すみやかに提供されない可能性、または一切の提供が行われない可能性があります。