オブザーバビリティ
通信・コミュニケーション

エンテル:Elasticが支える360度視点の国際的オブザーバビリティ

  • 80%
    平均復旧時間の短縮率
  • 95%
    企業全体で可視化されたオペレーション
  • 127万
    2019年に増加したプリペイドモバイルの新規顧客数

包括的な可視性

SplunkからElastic Stackに移行したことでデータ投入のキャパシティが向上し、チリとペルーのITチームと事業チーム全体に、クリティカルなサービスに対する24時間・365日の可視性を確立

経営陣に最新情報を通知

同社として初めて、経営陣にビジネスとオペレーションのリアルタイムメトリックが提供されたほか、スケールや拡張、顧客エクスペリエンスの管理に役立つ全社規模の分析も確認可能に

事業成長に貢献

セールスチャネルの特定に必要となるデータを投入したことで、プリペイド、およびポストペイド顧客の分析が可能となり、モバイル事業の成長を実現

エンテルについて

チリを拠点とする大手通信・技術オペレーション企業のエンテル社は、昨今ペルーでも急速に事業を成長させています。チリ国内では通信サービスからデータセンター、コンタクトセンター、ITアウトソーシング、D2C(直接販売)などのほか、あらゆる規模の事業を手掛けています。2013年にエンテルはネクステル社を買収し、ペルーでの事業を拡大しました。現在ペルー国内では3番目のプロバイダーとなり、8百万の顧客に全国規模の携帯電話通信やデータサービスを提供しています。

Elastic Stackで築く、将来性にすぐれた一元的ITオペレーション

エンテル社はこの数年、通信市場の競合を勝ち抜く上で、数々の技術的課題に直面してきました。同社のレガシーシステムは新たなサービスをサポート、導入するには機能的な制約があり、顧客エクスペリエンスやベンダーサポートといった観点から、オンラインチャネルの改善が必要でした。このような問題は、同社の市場進出戦略や、セールス・製品開発部門の足かせとなっていました。消費者が求めるサービス水準が高まる中、エンテルはイノベーションとスケールを敏捷に実施するための適切な技術を必要としていました。

この状況を打開すべく、同社は2015年にデジタルトランスフォーメーションプロジェクトを社の最優先課題に位置付けました。“大きく考え、小さくはじめ、すばやくスケールさせる”というポリシーを掲げ、エンタープライズアーキテクチャー戦略とテクニカルアーキテクチャーフレームワークを定義することにより、ペルーおよびチリのリスク管理とオペレーション統合を実施して事業をシンプル化するというプロジェクトです。さらに同社はベンダーやパートナーとの長期的な関係構築を望んでいました。そして、個々にオペレーションが行われていたチリとペルーでマルチナショナルなオブザーバビリティ統合を実現するため、Elastic Stackの導入が決まりました。エンテルは強力なガバナンスモデルの下で事業変革を開始し、専任のチームによるオペレーション支援と管理改革でエンドツーエンドでの確かなデータ品質を目指しました。

このデジタルトランスフォーメーション以前は、チリとペルーの2国に独自のチームとプロセス、ツールがあり、レガシーシステムでそれぞれにロギング、可視化、監視、分析を行っていました。個々にツールを使用するやり方は無駄が多いだけでなく、保守費用も高くなります。

Elasticと歩むデジタルトランスフォーメーションの道のり

Elasticが解決を支援する同社の課題は、堅牢なオペレーション管理を実装し、チームやメソドロジーを合併して、サービスのビジョンを統一するというものでした。そのためにはまず、エンテルのデジタルトランスフォーメーションチームが2国でのオペレーションを統一、および標準化して、一元的なIT監視フレームワークを作成しなければなりません。チリとペルーでデジタルトランスフォーメーションチームに参加したツール&分析監視チーム主任のオスカル・ナルバエス氏は、「当初の目的として、エンテルのオンラインサービスをすべて移行させるだけでなく、確実に最適なオペレーションを実施する上で必要なすべてのデータを分析できるツールの標準化を掲げていました」と証言します。エンテルはElasticが提供する新たなツールを導入したことで、レガシーの技術による制約がなくなり、“どのデータをインデックスする、しないと”いう日々の複雑な判断から解放されました。

プロジェクトの最初のフェーズが終了した時点で、PrePaidのすべての顧客の移行を完了していました。しかし、ITオペレーション責任者のヘルダー・ブランコ氏とナルバエス氏は、最初に導入したHP(現マイクロフォーカス社)製の監視ツールフレームワークが期待に沿っていないという判断を下しました。このためチームはElastic Stackを使った概念実証を開始しました。その成果は際立っており、チームがElastic Stackを標準ツールとして実装すると決めるまでに1か月もかかりませんでした。初期段階ですばやい成果を実証したブランコ氏とチームは、Elastic Stackこそ同社のソリューションであると確信し、一刻も早く導入しようと考えました。そこでElasticに連絡し、システムをすみやかに設計、ローンチ、スケールできるようエキスパートの支援を活用することにしました。

Elasticコンサルタントによる支援を活用した結果、ITオペレーションに関する一元的なビューがエンテルのコマンドセンターに構築され、チリとペルーのすべてのサービスにわたる24時間、365日の可視性が確立されました。すべてElastic Stackが支えています。

Elastic Stackがこのデジタルトランスフォーメーションプロジェクトの屋台骨となったことで、エンテル全体への可視性が提供されています。

– オスカル・ナルバエス氏, ツール&分析監視チーム主任 | エンテル社

現在、同社内でオペレーションに関する問題が生じると、専任のサポートチームは問題の発生場所を問わずKibanaのダッシュボードで手軽に、リアルタイムに関連する情報をすべて閲覧することができ、問題の切り分けや解決のための初期分析をすみやかに開始することができます。さらに、デジタルトランスフォーメーション後のオペレーションでは、インデックスし、格納するデータ量の制限もなく、すべてのチームが、ほぼリアルタイムにストリーミングされてくる情報を、履歴データに相関付けて簡単に調査することができます。 

ブランコ氏は次のように述べています。「エンテルは、全オペレーションサービスに対して、95%の可視性を確立しました。ただKibanaにログインするだけで、各プラットフォームで何が起きているか把握することができます。注文や、追加注文、営業評価、ストア用プラットフォーム、クレーム、技術的な問題などについてデータを抽出することができます。各種マシンやストア、データベース、あらゆるインフラの問題指標のデータを統合して、ペルーとチリにまたがる単一のフレームワークを構築しました」

さらに同社として初めて、事業部門と経営陣における、全社的なネットワークメトリックと分析のリアルタイムビューの活用が開始されました。事業の継続的な成長と、カスタマーエクスペリエンスの向上に役立てることができます。 

ナルバエス氏とチームは、数十億ものドキュメントにすばやくアクセスして、チームと経営陣向けの可視化を構築しました。 

一例として、エンテルはチリ国内に142の情報読み込みパイプラインと、206のダッシュボードを実装し、105億のインデックス済みドキュメントと3.7TBのインデックス済みデータを保持、さらに毎日35GBのデータを処理しています。ペルー国内では68の情報読み込みパイプラインと、139のダッシュボードを実装し、28億のインデックス済みドキュメントと600GBのインデックス済みデータを保持、さらに毎日15GBのデータを処理しています。

Elasticには感謝しています。パフォーマンス、トラフィック、スペースに制約が生じません。ダッシュボートとレポートの構築でも非常に助かりました。

– ヘルダー・ブランコ氏, ITオペレーションマネージャー | エンテル社

平均復旧時間を80%短縮

Elastic Stackをベースとする一元的なIT監視オペレーションのリリースに成功したエンテル社では、以前に比べ、オペレーションの問題にはるかに早く対応することができるようになりました。しかし、よりすぐれたカスタマーエクスペリエンスを提供する方策を模索する同社の取り組みは続いていました。ナルバエス氏とチームは、異常緩和計画について、ただ異常に反応するというアプローチから、予防的に検知・防御するアプローチへと移行させる必要性を感じるようになりました。Elasticのプロダクトの導入以前、このようなアプローチやメリットを実現することは不可能でした。以前のソリューションでは、異常の特定に大変な時間とリソースを費やす必要があったためです。サポートチームおよび、インシデントチームのマネージャーたちはパターンを発見したり、問題を切り分けたりするために、手作業でデータをレビューしなければなりませんでした。

Elastic Stackが導入、および標準化された今、ナルバエス氏とチームはElastic Stackに内蔵の機械学習機能にアクセスすることができるようになりました。チームではツールやシステムを追加することなく、一元化されたITオペレーションに機械学習をスムーズに統合できます。20の異なる、かけ離れたソースから収集されるビジネスとオペレーションのデータは2か国からストリーミングされ、Elasticの機械学習とアラート機能を組み合わせてその処理を実施します。成果はすぐに現れました。

Elasticの機械学習を導入後、運用の問題特定と修復にかかる平均復旧時間が80%短縮されました。以前数時間かかっていた処理が、数分で終わります。

– オスカル・ナルバエス氏, ツール&分析監視チーム主任 | エンテル社
Screenshot of Entel dashboard

エンテル社の異常検知ダッシュボードの一例

プリペイドモバイル事業の成長を実現

データの全体的なビューを確立したエンテル社のデジタルトランスフォーメーションチームでは、従来可視性が不足していた領域でもさまざまな答えを導き出せるようになりました。特に該当する領域が、プリペイドのモバイル事業です。

かつてプリペイドのモバイル顧客は長期投資の意向を持たず、一時的な使用目的で新規回線を購入することから、維持することの難しいユーザー層でした。1顧客あたりの収入が30日しか保証されないためオペレーションコストがかさみ、経営利益にはリスクの大きい販売モデルです。  しかし、アカウントに継続して再チャージする顧客を特定できれば、長期投資を促す一体的なマーケティング活動を展開できます。Elastic Stackの導入以前、こうした有望なプリペイド顧客が、どのセールスチャネルを利用しているか特定するために必要となるデータは投入されていませんでした。 

データ投入量の制限から解放されたことで、すぐにデータにアクセスし、簡単に有望なプリペイド顧客を特定することができるようになりました。チームがダッシュボードやサービスログ、ユーザー操作、サービス内容をリアルタイムに関連付けると、セールスを促進しているチャネルが初めて明らかになり、顧客の再チャージや利用年数といった質的指標を示すデータも把握できました。こうしたインサイトにその他の要因も重なり、エンテルが提供するサービスの可用性とパフォーマンスは大きく向上しました。2019年の1年間にプリペイドのモバイル事業で増加した顧客数は、127万人に上ります。

Elasticのパートナーシップ

順調に規模が拡大する中、エンテルはElasticコンサルタントやサポートスタッフとの協働を継続し、ペルーとチリにおける新たな機会創出を図っています。同社は、ビジネスプラットフォームにテクニカルソリューションを導入する際、Elasticのコンサルタントとのやり取りはシンプルで手軽だったとコメントを寄せました。

Elasticコンサルタントは、アイデアをふくらませたり、課題を解決して、プロジェクトを最適化する上で大きな助けとなりました。たった1週間でデータ収集と変換の優れた知見を提供してくれました。

– オスカル・ナルバエス氏, ツール&分析監視チーム主任 | エンテル社

エンテルのElastic Stack活用ロードマップ

エンテルのデジタルトランスフォーメーションの取り組みにおいて今後重要となるタスクは、セルフマネージドのデプロイからElastic CloudのElasticsearch Serviceへの移行です。この課題を達成することにより、エンテルの成長に応じてシームレスにスケールするオペレーションと分析のツールを今後も継続して一元的にサポートすることが可能になると、ナルバエス氏は考えています。

Example architecture

エンテル社が今後、Elastic Cloudにデプロイを予定するアーキテクチャー

エンテルでは、取り組みのあらゆるステップを通じて、顧客エクスペリエンスの向上を図っています。ナルバエス氏は、顧客が残高やデータサービス状況を管理するセルフサービスポータルの機能改善のプランもあると話します。わかりにくさや問題が生じているステップがどこにあるかを分析すれば、ユーザーエクスペリエンスを改善し、サイトの離脱やトランザクションが未完となる状況を回避することができます。 

さらに同社では、ユーザーが使用する機器やブラウザー、ネットワーク接続(3G、4G、VoLTEなど)を把握し、パフォーマンス時間を測定することを検討しています。また、この他にも多数のプロジェクトが計画されています。 

ブランコ氏とナルバエス氏は、これらの取り組みのあらゆるステップで、Elasticのテクノロジーとコンサルタントが活躍すると確信しています。

ブランコ氏は次のように語ります。「Elasticが私たちを支えてくれました。以前のソリューションでは実現できない、すぐれた手法で、これからもエンテルの通信技術の変革とスケールを支えてくれることでしょう」