差別化されたカスタマーエクスペリエンス
古野電気は、同社のElastic オブザーバビリティソリューションの一部としてKibanaとElastic Mapsを採用したことで、船上でのデータ使用に関するデータ・分析結果をより多く得られるようになっています。それらのデータ・分析結果は、お客様の船舶と陸上の接続コストとパフォーマンスの改善に役立ちます。
コストパフォーマンスに優れたプロアクティブなサービスを提供
今後発生しそうな機器の障害、予兆を検知し、予防保守を行う必要があれば、修理内容を特定し、部品を迅速に手配することで費用を抑えながら効果的な対応をご支援します。
安全で効率的な航行を実現
古野電気は、Elastic CloudのElasticsearch Serviceを活用することで、ライフサイクルソリューションを効果的に多くのお客様へ展開することができます。また、お客様のニーズにより最適なサービスプランをパッケージ化し販売することで、安全で効率的な航行へ貢献します。
古野電気株式会社について
古野電気は、人間の目ではとらえることのできない世界を鮮やかに映し出し、可視化領域を広げることで産業の発展や科学技術の進歩に貢献しています。世界で初めて魚群探知機を実用化して以来、漁船からプレジャーボート、商船向け電子機器の開発へと拡大しながら、海をテーマに発展してきました。また、通信衛星装置も提供しており、そのサービスはElastic Stackの使用によって強化されています。
船上のデータをリアルタイムに取得・分析することで生まれる新しい価値
ここ10年間、古野電気の衛星通信サービスは、全世界で船舶-陸上間、船舶間における音声通話と高速データ通信を同時に提供、業務連絡のみならず船員の家族との連絡等、様々な用途にあったコストパフォーマンスの高いブロードバンド通信を提供してきました。しかし、場所や時間を問わない接続性に対する人々の期待は高まり続けており、古野電気の顧客においては、船員が他のビジネスアプリケーションやアクセスを利用できるようにするために品質と接続性をより高める必要に迫られていました。
そのため古野電気は、お客様が運航上必要な帯域幅を犠牲にせず分析を行えるとともに、データ利用をほぼリアルタイムで制御できるようにする方法を見つける必要がありました。その結果、古野電気がたどり着いたのがElasticでした。船舶から陸上へとネットワークトラフィックデータを毎時送信することで、使用とパフォーマンス関連の問題を予防的に特定することができます。その方法を古野電気に提供したのが、Elastic オブザーバビリティソリューションでした。このソリューションは、Elastic Stackのその他の機能とともに、古野電気が安全・安心で効率化を支えるサービスをお客様に提供するために役立っており、そのサービスには、海上での接続を維持するための予防保守などが含まれています。
古野電気株式会社のElasticとの歩み
過剰なデータ使用量の原因追究
古野電気のあるお客様が、月々のデータ使用量の増加に驚き、その接続速度に対して古野電気に調査・分析を依頼しました。そのような大量のデータ使用が発生した原因を突き止める任務を課せられたのは、古野電気のICTエンジニアリングチームでした。同チームは、船員の福祉のためには友達や家族とのコミュニケーションが重要であることを理解しています。しかし、メッセ―ジングプラットフォームとソーシャルメディアが高い使用率となっている原因の一部は、お客様の過剰なデータ使用にあるのではないかと考えました。しかしこれを証明するのは大変です。古野電気の衛星通信システムパートナーから使用状況のデータを取得するためには、平均して1日から2日、場合によっては数週間かかります。しかもそのデータには、スプレッドシートの数千万行もの入力項目が含まれており、分析するためには多大な労力が必要でした。
古野電気のITスペシャリスト、ベン・フリース氏は次のように述べています。「船上で何が起きていたのかを明らかにして、どのデバイスやサービスがデータを消費しているかをお客様に説明できる必要がありました。そこで、船上のファイアウォールからのデータの収集と分析を開始しましたが、原因を判断するにはノイズが多すぎるため、数時間または数日かけないと、お客様が必要とする情報を提供することができませんでした」。
ベン・フリース氏は、オブザーバビリティソリューションに着目しました。データ使用に関するデータ・分析結果をより頻繁かつ詳細に提供でき、船上の異なる種類の通信システム(および関連する特定のデータ)と簡単に連携できる可能性があると考えたからです。
Elasticで最適な機能を確立
Elasticは、ベン・フリース氏が望む柔軟性と機能を提供しました。特に、Kibanaによる可視化・解析により、対象となるすべてのハードウェアからのデータを簡単に分析して、ファイアウォールから送られてくるデータに対する分析結果を得ることが可能になりました。ベン・フリース氏は、4週間でデモを用意し、Kibanaを使用することでどのデバイスやアプリケーションが過剰なデータ使用の原因となっているかを迅速に特定できることを経営陣に示しました。この情報はまさに、お客様がそのデータ利用実態について納得するために必要なものでした。経営陣はこのソリューションを広く展開することを承認しました。
ベン・フリース氏はより広範な展開をサポートするために、Amazon Elasticsearch Serviceにサインアップしました。Amazonの既存の顧客である古野電気は、既存のツール内でAmazonのサービスにアクセスすることができたため、これを試用するのは理に適っていました。しかし2週間後、ベン・フリース氏はElastic Stackのオープンソースバージョンに切り替え、古野電気のAWSハードウェアで6か月間運用しました。
その後すぐに、古野電気はElastic CloudのElasticsearch Serviceに移行しました。Elasticの最新の商用機能のすべてにアクセスできるからです。簡単に使えるElastic CloudのElasticsearch Serviceにより、古野電気はその投資から最大の価値を得ることができました。さらに、Elasticsearch Serviceを選択したことにより、古野電気はお客様すべての接続性サービスの向上に取り組む中で、新しいハードウェアを1回のクリックでプロビジョニングし、Elasticソリューションをお客様の船舶全体にシームレスに拡張・展開することができます。
最終的に、私たちはElastic CloudのElasticsearch Serviceに移行することに決めました。Elastic Mapsやセキュリティ、アラート、レポート、Kibana Spaceなどの機能を使用したいからです。その他にもElasticsearch Serviceを気に入っている点は、デプロイの管理に時間を割く必要がないということです。
ネットワークトラフィックの分析から信号強度の追跡まで
古野電気はすでに30隻の船舶でElasticを使用しており、そのうちの1つを除くすべてが過去6か月以内にロールアウトされています。現在、各船上には小さなコンピューターがあり、そこではLogstashとMetricbeatが実行され、ファイアウォール、モデム、アンテナ、および船上のその他の通信機器など、複数のシステムからデータを収集しています。Logstashは、重複したエラーメッセージなどの不要なデータを取り除いてから、それ以外のデータを圧縮し、陸上に送信します。陸上では、古野電気がLogstash、Metricbeat、およびFilebeatを実行しており、そこでそれらのデータはElasticsearchに渡され、Kibanaで可視化することができます。
古野電気は2つのタイプのダッシュボードを使用してデータを監視し、追跡・分析しています。1つのダッシュボードは、Elastic Mapsを使用して各船舶の位置を示しています。これにより、船舶に接続性の問題が発生している場合、ユーザーは一目で分かります。その場合、ユーザーはその船舶専用のダッシュボードで詳細を確認して、迅速に問題を特定します。不正なビジネスアプリケーションが通常以上の帯域幅を消費している場合や、船舶のアンテナが問題の原因となっている場合もあります。また、Elastic Mapsを使用することで、問題の原因が船舶の位置なのか、または衛星通信プロバイダーにあるのかを判断できます。
古野電気はこれまで、別のシステムで船舶の位置を追跡していましたが、これはElasticのサービスからは分離されていたため、お客様が直面する接続性の問題のすべてを確認できる統合ビューを得ることはできませんでした。現在では、KibanaでElastic Mapsを使用して、各船舶に関して必要な情報のすべてを1か所に集約しています。
「接続性の問題の多くは船舶の位置に関係しているため、Mapsアプリが役に立ちます。このアプリにより、船が通信圏外に位置しているかをすぐに特定できます」と、ベン・フリース氏は述べています。「通信圏外にいる場合は、接続できない理由が分かっているため調査の必要はありません。しかし、通信圏内にいる場合はエラーが発生していることになるため、調査を行うことになります」。
サービス向上とコスト削減
Elasticを活用することで、古野電気はネットワークパフォーマンスの問題の原因を特定するために必要なデータを得られるようになり、その時間も1日から2日かかっていたものが1時間に大幅短縮されました。また、どのアプリケーションやデバイスがデータを最も多く消費しているかを確認し、トラフィックを任意の問題に相関付けて、ハードウェアの問題か、または衛星カバレッジの問題かを判断できます。この情報によって古野電気は、接続のパフォーマンスを最適化または請求額を削減したいお客様に対して、より的確にアドバイスを行うことが可能になります。
さらに、衛星通信プロバイダーがマルウェアまたはウイルスを原因とするトラフィックを検知した場合、古野電気は、感染したデバイスをわずか1時間以内でお客様が特定できるように支援することができます。過去には、感染したデバイスを見つけるために古野電気が数時間または数日間ファイアウォールトラフィックを監視していたため、その間にマルウェアまたはウイルスがシステムに大損害をもたらす可能性があり、接続性に影響が出ていたこともありました。
船舶のハードウェアやアンテナから収集されたエラーメッセージや信号強度、位置データも、古野電気が接続性の問題を特定するために役立つ貴重な情報となります。ハードウェアにいつ障害が発生するかというリスクも特定できます。そうすることで、対策を講じたり、地域の港で予防保守を行えるようにスケジュールできます。これらによってお客様は接続を維持し、サービスコストを最小化することも可能になります。
「Elasticの使用を開始するまで、スプレッドシートのデータの収集とグラフ化に多大な時間を費やしていましたが、それは不要になりました。Elasticのおかげで、衛星の通信機器が正常に動作しているかどうか、またはエラーがあるかどうかについて簡単に監視できます。また、船上で通信データを監視して、不正な通信やウイルスの感染を特定することもできます」と、古野電気で技術サポートを担当しているアシスタントマネージャー、佐藤美喜氏は述べています。「そのため、私たちは問題について早い段階でお客様に伝えることができます。また、原因や対策の調査には深い専門知識が必要ですが、Elasticによって提供されるデータ・分析結果は非常に有意義であり、解決の促進に役立ちます」。
これらの利点は、古野電気がElasticの展開を30隻の船から日本およびアジア太平洋地域の数百隻の船へと拡張することで、さらに増幅されます。古野電気のロードマップに含まれるその他の取り組みには、Kibana Spacesを使用して、ユーザーのアクセス制御とさまざまなダッシュボードやビジュアライゼーションの編集を行えるようにすることがあります。この機能は、システムの利用者権限に応じたkibanaの使用範囲を管理するために役立ちます。また、お客様に直接、有償でダッシュボードを提供することで、データを収益化することも可能になります。
最後に、古野電気はElasticを使用して衛星サービスプロバイダーからのデータを分析し、お客様が一定の使用レベルを超過したときに自動的にアラートが通知されるよう計画しています。これはお客様への付加価値として重要であるとともに、新たな収益機会に結びつく可能性もあります。営業担当者はそのデータを使用し、リアルタイムの使用パターンに基づいて、プランをアップグレードするようお客様に提案することができます。
古野電気株式会社がデプロイしたクラスター
- クラスター1
- ノード1
- ホスティング環境Elastic CloudのElasticsearch Service
- ドキュメント300,000,000+
- 総データサイズ~50GB
- 投入レート(1日あたり)~225/10分
- インデックス~400(そのほとんどが小規模で週ごとに展開)
- 検索レート285/10分
- 複製0
- 時系列インデックスほぼすべて
- ノードの仕様AWS.data.highio.i3 15GB RAM 1 zone