課題
データにすばやくアクセスできるシステムの実現
ソリューション
Elasticsearchで顧客データのインデックスから分析、パブリッシュまでリアルタイムに実行
スイス・ライフのElasticsearchストーリー
スイス・ライフは保険や資産管理サービスを手掛ける大手企業で、フランスでは個人向け保険商品を主力に高いシェアを誇ります。個人向けから法人向けまで幅広いサービスを展開し、取り扱い商品も生命保険からプライベートバンキング、金融管理サービス、健康保険、損害保険まで多岐にわたっています。スイス・ライフ・フランスは、パーソナライズされたアドバイスときめ細かなソリューションで長く自立した生活を送るサポートを提供しており、顧客との密接な関係が同社の強みです。
数年前、スイス・ライフ・フランスは、ウェブとモバイル対応のポータルやアプリケーションを含む全システムの再構築とデジタル化を行うプロジェクト、"デジタル・ファンデーション" をスタートさせました。このプロジェクトの一環で、顧客情報に関する取り組みが "Vision 360" です。1,000万人分の顧客情報は、当時さまざまな方法とフォーマットで照会されていました。個人や法人の顧客、営業担当者、保険仲介事業者、カスタマーサービス担当者など、さまざまなユーザーがそれぞれにアクセスしていましたが、次第にデータへの均質なアクセスを保つことが難しくなっていました。集約された情報に「サイロ化」が生じていたのです。
スピードと信頼性は不可欠です。Elasticsearchがデータをリアルタイムにインデックスするようになり、すべてが進化しました。
スムーズな運用と、情報への均質なアクセスを実現させるため、スイス・ライフ・フランスはElasticsearchで顧客データのインデックスとパブリッシュを行うことにしました。チーフエンタープライズアーキテクトのクリスチャン・ファン・チョン氏は、当時の経緯を次のように語っています。「デジタル化の現在、そして将来的な要件も踏まえて、新しい顧客情報システムのアーキテクチャーを構想しました。そしてさまざまなソリューションを比較、検討した結果、新システムの中核にElasticsearchを導入することを決めました」
Vision 360プロジェクトでカギとなる要件は、顧客記録、契約データ、マーケット分類データ、年金と保険スコアのすべての情報を横断してリアルタイムにクエリできることです。ファン・チョン氏は「Elasticsearchは非常にフレキシブルなので、異なるデータセットを統合したり、クロスデータによるインサイトの取得も簡単に、リアルタイムに実行できます」と言います。
あらゆる顧客の窓口となるWebサイトとモバイルアプリケーションにデータを提供するため、まずElasticsearchですべての顧客データを1か所に集約させました。さらに求められたのは、すべての顧客がポータルサイトにアクセスでき、顧客情報と契約情報をすばやく取得できる機能です。また、情報が更新された場合、ソースシステムで10秒以内にインデックスする必要があります。「スピードと信頼性は不可欠です。Elasticsearchがデータをリアルタイムにインデックスするようになり、すべてが進化しました」とファン・チョン氏は語ります。
Elasticsearchのおかげでデータを高速で取得できるようになり、ユーザー向けアプリケーションのレスポンスが非常に良くなりました。
顧客向けのポータルサイトに導入された後、Elasticsearchはスイス・ライフの営業担当者と保険仲介事業者向けの営業ポータルにも導入されました。顧客情報を検索できるこのポータルには、担当する業務範囲のデータだけを表示する閲覧制限機能も組み込まれています。
スイス・ライフ・フランスはElasticsearchのフィルタリング機能を活用し、機密データや一部の顧客情報へのアクセス管理を実装しました。ポータルで検索できるドキュメント数は2,300万点で、2つのインデックスも含まれます。1つは顧客関連、もう1つが契約関連のインデックスです。ドキュメントの構造は複雑で、膨大かつ多階層のフィールドが含まれています。
「Elasticsearchのおかげでデータを高速で取得できるようになり、ユーザー向けアプリケーションのレスポンスが非常に良くなりました」とファン・チョン氏は語ります。またこのシステムは、Elasticのプラグインを活用してElasticsearchクラスターを監視しています。基幹業務の顧客データをElasticsearchで管理し、すべての顧客、社員、パートナーが顧客ポータルを使用する現在の状況について、ファン・チョン氏は「Elasticのサポートはスイス・ライフに欠かせない存在」と高く評価しています。
また、将来アーキテクチャーを拡張するにあたり、サポートが果たす役割はますます期待されています。現在Elasticsearchはバックエンドで構造化データの管理に使用されていますが、ファン・チョン氏は今後について「顧客が作成する非構造化データもElasticsearchで管理できるよう、拡張を予定しています。メールやその他の書類を扱うことができれば、Vision 360でカバーする顧客データは量、範囲ともにますます充実し、ユーザーにさらに広範なデータベースを提供できます」と語っています。