開発期間の短縮
顧客サービスの向上
データインサイトの強化
期待以上のサービスを目指して ― イノベーションを加速させるElasticのテクノロジー
チューリッヒ・インシュアランス・グループにとって保険とは、単なるビジネスではありません。それは顧客と、顧客の大切なものを守ることであり、未来に向けて安心と自信を提供する取り組みです。同社は150年近い歴史の中で、常に顧客第一を掲げてきました。そのコミットメントは現在、組織のデジタルトランスフォーメーションを推進する原動力となっています。
継続的に顧客サービスの効果を高め、新規顧客を開拓するというミッションの一環で、チューリッヒ・インシュアランスはレガシーアプリケーションの廃止と、多数のワークロードのElastic Cloudへの移行を進めています。この移行で、保険請求レポートの改善やリモートでのリスク評価など新たなデジタルサービスの導入が実現し、保険加入者に付加的なバリューを提供することが可能になりました。また、新規の保険商品もリリースされています。その1つ、“Zurich Klinc”はスマートフォンやカメラ、e-bikeといった個人用の電子デバイスを対象とする保険です。
チューリッヒ・インシュアランスは、お客様の期待を上回ること、また一層デジタル化するお客様のライフスタイルを支えることを目指しています。それが、Elastic Cloud on Kubernetesを導入した理由です。Elasticのテクノロジーがあれば、お客様のニーズやイノベーションの促進、IT環境のシンプル化にフォーカスして取り組み続けることができます。
チューリッヒ・インシュアランスは世界最大の公開会社の1つであり、215の国と地域に5万5千人の従業員と多数の顧客を抱えています。これほどの大企業が新たな環境へ移行するには、徹底したイニシアチブが必要となります。同社が遂げた進化を振り返ると、大仕事を乗り越えた痕跡がはっきりと見えてきます。それは複数のチームと、シニアプロジェクトリードのブライアン・キーガン氏、ソリューション統合責任者のエフゲニー・シトニコフ氏をはじめ、複数のElasticエバンジェリストの功績です。
キーガン氏とシトニコフ氏が率いるプロジェクトの存在は、顧客にも、大多数の社員にも認識されていません。しかし彼らの業務こそが、同社の競争力を維持し、顧客の満足を引き出す継続的なイノベーションを支えています。Elasticは両氏が活用するコアテクノロジーの1つを提供しています。保険請求担当者の生産性を高めて顧客サービスを向上させ、開発者のイノベーションを支援するこのテクノロジーは、ビジネスの収益に大きなインパクトを実現しています。
保険請求プロセスの迅速化で顧客サービスを向上
チューリッヒ・インシュアランスがElasticのテクノロジーを導入したのは5年前のことでした。今ではサービスの向上や顧客からの信頼の維持に欠かせない存在です。同社の保険請求アプリケーションはElasticsearchを採用しています。このアプリケーションを使えば、担当者は電話で顧客に対応しながら問い合わせ記録や請求履歴を簡単に呼び出すことができます。以前はこうした情報へのアクセスが困難で、アクセスできないことすらありました。数十年分のデータが、何十ものレガシーシステムのあちこちに保管されていたためです。このため保険請求のプロセスにおいて、担当者は時間をかけて顧客から個人情報を収集しなければならず、長引く通話は顧客に不満や不安感を抱かせる原因となっていました。
Elasticのテクノロジーを導入した現在、担当者は必要な時に、いつでも顧客データを参照できます。
顧客データを一元化し、Elasticsearchで簡単に検索できるようにしました。保険請求担当者はリアルタイムに正確な情報を入手し、顧客からの問い合わせにすばやく回答できます。この結果、あらゆる請求の問い合わせで、通話時間が数秒から数分短縮されました。この積み上げは大きな効果をもたらし、顧客満足度も目に見えて向上しました。
Elastic Cloud on Kubernetesでスピード、スケール、関連性を実現
チューリッヒ・インシュアランスが変化を続ける顧客ニーズを見据えて変革に取り組む中、同社の開発サイクルではElastic Stackが重要な役割を果たしました。数百人の開発者やテスターが、開発、テストから運用にいたるまで、アプリケーションのロギングにElastic Stackを活用しました。担当者や顧客のために、アプリケーションはパフォーマンスと可用性の高い基準を確実に満たさなければなりません。同社ではオンプレミスとクラウドにわたり、40ものアプリケーションからログを収集しています。40年前のレガシーシステムから最新のデジタルアプリまで、多岐にわたるログからはリクエストとインシデントのアグリゲーションビューが作成され、顧客サービスの向上に役立てられています。
Elasticのテクノロジーを導入する以前、チューリッヒ・インシュアランスのアプリケーションログはサイロ化されていました。サイロ化されたデータのリクエスト処理や取得には何日も時間がかかることもあり、サードパーティが管理するシステムでは特にその傾向が顕著でした。現在ではKibanaのダッシュボードを使い、リアルタイムにログを可視化することが可能になりました。たとえばITの問題をトラブルシューティングして修正するまでの時間も、数日から数分に短縮されています。こうしてチューリッヒ・インシュアランスは平均復旧時間(MTTR)の劇的な短縮を達成しました。これは同社がクラウドに移行し、競争の激しい業界で高まり続ける顧客や社員の期待に応えるデジタルエクスペリエンスを創出するための重要なファクターです。
急速なイノベーションを維持するには、IT環境の進化も欠かせません。アプリケーションロギングのニーズが増大した結果、さらなるストレージキャパシティとスケール性が必要になり、クラウドへの移行がはじまりました。スケール性、収益力の強化、顧客基盤の拡大、顧客満足度の向上を考慮したチューリッヒ・インシュアランスが選んだのはElastic Cloud on Kubernetes(ECK)です。
Elastic Cloud on Kubernetesというイニシアチブによってチューリッヒ・インシュアランスのクラウド戦略が形になり、スイス事業ユニットが採用しました。
Elasticコンサルティングが使いやすさ・ベストプラクティスの検証を実施
チューリッヒ・インシュアランスはアプリケーションのデプロイ先をクラウドに移行するにあたり、Kubernetesの導入を検討していました。最新のアプリケーションインフラへ一律に移行しようという試みです。その折、ElasticがElastic Cloud on Kubernetes(ECK)のアルファバージョンをリリースしたことは同社にとって渡りに船でした。
ブライアン・キーガン氏のチームはElasticコンサルティングとMicrosoftチームの支援を活用し、Microsoft Azure Kubernetes Services(AKS)上でECKの可能性をテストする概念実証を実施しました。アーキテクチャーやユースケースのアイデアを引き出し、ベストプラクティスを盛り込んだアプローチを検証することが目的です。Elasticのコンサルタントはチューリッヒ・インシュアランスのITチームに最適なトレーニングを通じて基礎的スキルを養成し、概念実証のための開発をサポートしました。また、チューリッヒ・インシュアランスはKubernetesでログを捕捉する方法を確立させるほか、Azureのコンポーネントやインスタンスサイズ、ストレージクラスの選定について助言を受けるなど、運用までの準備全般にわたってElasticチームとのコラボレーションを活用しました。一連の協働は、デフォルトでセキュア、かつ宣言型ユーザーとロールをサポートするECKの実装に向けて確かな起点を生み出しました。
ブライアン・キーガン氏は次のように語ります。「Elasticコンサルティングのエクスペリエンスは素晴らしいものでした。タイトなプロジェクトを進める上で、彼らの支援が大きな助けとなりました。私たちは6週間以内にMinimum Viable Product(実用最小限の製品)を実装してUAT(受入テスト)を実施し、それが運用へのゴーサインとなりました」
Elastic Cloudに移行したことで、アップグレードやインフラに変更を加える作業も劇的に簡単になりました。それは、チューリッヒ・インシュアランスが、成長や収益性、スケールの妨げとなっていたレガシーのソリューションを廃し、Elastic Stackによって投資収益の最適化を達成したことを意味します。アップグレードやインフラ障害の解消に労力を費やす必要がなくなり、チームはプロダクトやサービスの向上に集中することができるようになりました。
エフゲニー・シトニコフ氏は次のように指摘します。「以前、アップグレードは複数のチームから多数の人員をかき集めて取り組む大掛かりな作業でした。完了までに、数週間かかることもありました。Elastic Cloudを導入した現在、数日や数週間の作業はなくなりました。わずか数時間でインフラに変更を加えることができます」
シトニコフ氏とキーガン氏は、複数のソースからのデータ流入が進み、Elasticのテクノロジーの活用範囲はますます拡大すると予測しています。増大するデータコストを効率的に管理できるよう、同社はECKでCold、Warm、Hotノードを活用しています。古いデータを継続的に安価なColdストレージに移すことで、会計や法的義務、その他の目的に準じてデータを保持し続けることができます。
Microsoft Azure Kubernetesに導入したECKは、未来への保険
イノベーションの効果は、既に顧客にも実感されはじめています。請求担当者の対応は大幅に迅速化され、新しく便利なオンラインサービスがいくつも登場しました。また、何より大切なものを守るモダンな保険商品も加わっています。こうした変化はあくまで、“はじまり”にすぎません。
エフゲニー・シトニコフ氏とブライアン・キーガン氏は、Microsoft Azure Kubernetesに導入したECKを戦略的に活用することで、今後ますますイノベーションと効率化を実現できると考えています。