パーソナライゼーションを支えるElastic ― 銀行、金融、全業界対応
こんな状況を想像してください。あなたが何か探していると、まさにぴったりのものが差し出されました。どんな風に感じるでしょうか。信頼できる企業が自分の要求をよく理解してくれていた ―― そのような体験は、現実の経済活動では滅多にありません。提案が的外れであれば、押しつけがましいと感じる可能性があります。提案が適切であれば、顧客として企業に親しみを感じ、サービスが行き届いているという印象が強くなるでしょう。
ここで、視点を入れ替えてみます。組織としてどのような支援を行えば、そのようなパーソナライズされたエクスペリエンスを顧客に提供できるでしょうか。
本記事をお読みの方は、業界で働くプロフェッショナルとして、パーソナライゼーションがもたらす効果や、企業が顧客サービスのパーソナライズに価値を見出す理由を十分ご存じのはずです。一方で、実効性のあるパーソナライゼーションを実現するために必要となる膨大なデータは、組織において簡単に扱えるものではありません。仮に組織にデータが蓄積されている場合でも、アクセスや処理に十分な能力が整備されていないこともあります。もちろん、Elasticを導入済みの組織はその限りではありません。
銀行業や決済サービス業界とってデジタルの顧客エクスペリエンスは、10年以上前から決定的な投資分野となっています。他方、金融業界の複雑さと厳格な規制要件を背景に、オンラインチャネルに関してはこれまで、基本的なセキュリティやコンプライアンス、顧客要件を満たす取り組みに重点が置かれてきました。
これが永遠に続くわけではありません。次のフロンティアは、パーソナライゼーションです。金融サービス各社は、顧客の利用状況に応じ、固有の金融サービスニーズを満たす新たなプレゼンテーション手法、すなわち適切な応答で、適時に、適切なコンテンツやサービスを提示する手法を模索しています。
その実現に不可欠な条件が、データの活用です。他の業界と比べても、金融サービスプロバイダーは“顧客データポイント”というパーソナライゼーションを推進するための潤沢な資産に恵まれています。たとえば貯蓄決済口座の開設時、顧客は金融機関に貴重な情報を提供します。その後も残高の推移や資産価値の変動、日々の取引などが価値ある情報となります。顧客は決済アプリからサードパーティのWebサイト、税の管理やファイナンシャルプランニングのためのソフトウェアまで、バンキングサービスの利用状況全体で多数のデジタルタッチポイントの金融データにアクセスしています。銀行には、顧客の取引履歴から明確なプロフィールを描き出し、どの金融商品や金融サービスを必要としているか把握する能力があります。――もし、銀行がそのデータを活用すれば、ですが。
データがあるにもかかわらず、パーソナライゼーションが困難な理由
Deloitteが実施した調査で、「銀行がサービスをパーソナライズしていると思う」と回答した顧客の割合はわずか30%でした。銀行における課題の1つが、内部と外部のソースから、構造化データと非構造化データをリアルタイムに統合して活用する取り組みです。これを実現するには、データをシームレスに処理、インジェストして、頻繁にアップデートできるような統合的なデータインフラをプロバイダーが立ち上げる必要があります。データへのアクセスが改善すれば、銀行や決済サービスプロバイダーは、データ分析や行動科学、エスノグラフィックリサーチなどの戦術を活用し、より正確に顧客に照準を合わせることができます。
Elasticのパーソナライゼーション支援
Elasticを導入することで、銀行や決済サービス企業はサイロ化されたデータ構造を一元化できます。レポジトリがなく、一律の構造がないデータでも問題ありません。何十年分ものデータの相関付けが可能です。Elasticはデータを一元的に格納して、超高速検索や関連性の細かな調整、簡単にスケールするパワフルな分析を実現します。ユーザーは、テクニカルな機能や非テクニカルな機能を活用し、個別のニーズに応じてサービスをカスタマイズできます。ここからはいくつかの事例とともに、組織のパーソナライゼーション戦略をサポートするElasticの手法をご紹介します。
360°の顧客エンゲージメントシステム
Elasticは社員向けのカスタムアプリエクスペリエンスの構築を支援しています。Elasticのソリューションを使うと、顧客情報や取引、利用状況、嗜好などを示すデータを組み合わせることが可能になります。またElasticのUIや、独自のUIを使ったデータの可視化も可能です。Elasticは、適切なインサイトを活用してより親しみやすいカスタマージャーニーを構築する、サービスチームやセールスチーム、マーケティング担当者の取り組みを支えています。商品開発チームはソリューションのさらなるカスタマイズに、ビジネスマネージャーは市場進出戦略の実行にElasticを活用することができます。
たとえばカナダロイヤル銀行は、顧客プロフィールと主要な商品情報をリアルタイムにマッチさせる取り組みにElasticを活用しています。
Webサイトとアプリの検索エクスペリエンスをカスタマイズする
ただ顧客の質問に答えて終わるのではなく、質問の意図を汲み、ビジネスの拡大の機会へとつなげる役割を果たす。それが“パーソナライズされた検索エクスペリエンス”です。パワフルな検索機能をアプリに組み込めば、顧客情報を活用して、ローンの利率や資産計画サービス、クレジットカードの特典といったサービス情報をテイラーメイド型のリソースを生成し、顧客の画面に表示できます。
また情報の関連性が高まり、顧客自身の言葉で情報を探すことも可能になります。Elasticエンタープライズサーチを使うと、手軽なセットアップ作業で最新の検索エクスペリエンスを構築できます。グローバルな関連性調整やクエリ時間の改善、自然言語処理をはじめとする設定可能な機能群を活用することで、金融サービスチームは圧倒的に関連性にすぐれた結果を顧客に提示できます。このように実装すると、顧客が検索機能を使用する方法に関わらず、いつでもパーソナライズされた結果が表示されます。
またElasticを活用入すると、エンドユーザーの検索行動に基づいた強力な分析と可視化の機能を通じて豊富なインサイトを受け取ることができます。たとえば、カスタマーサポートコンテンツに潜むギャップの特定にデータが役立つ可能性もあります。その情報を基に新しいマニュアルやヘルプ資料を作成すれば、サポート費用の抑制や、顧客満足度の向上につながります。
機械学習による検知と予測で数百万ドルの資産を保護
PSCUやソフトバンクをはじめとするお客様の活用事例が示すように、Elasticは不正対策チームのための卓越したエンジンとコラボレーションツールを提供しています。PSCUは、トランザクションのアノマリーを検知することにより、数百万ドルもの顧客資産を不正からプロアクティブに保護しています。 同じエンジンを使って、顧客のファイナンシャルプランニング支援を行うことも可能です。
さらにElasticの機械学習を使って強力なインサイトを生成することにより、顧客へのコンタクトを強化できます。Elasticを導入する金融サービスプロバイダーは、機械学習が顧客のプロフィールに基づいてパーソナライズした検索入力予測や検索結果、バーチャルアシスタンスのサービスを提供できます。また予測的分析を実行し、金融サービス機関の顧客がサポートを必要とする時期や、新商品の提案に適した時期の予想に役立てることも可能です。強力な分析と可視化機能を使ってWebサイトやナレッジベースのアクティビティの監視と分析を行うことにより、問題の迅速な解決や、顧客の傾向に常時寄り添った対応を実践することも可能になります。金融機関は顧客の行動から生成されたインサイトを活用して、顧客のニーズを把握できます。それも集団的なニーズではなく、個々の顧客のニーズを健全に、安全に把握することが可能です。
Elasticを導入してパーソナライゼーションの戦略を構築する金融機関は、データを一元化して、各種のサービスやソリューションを顧客向けにカスタマイズできます。パーソナライゼーションは革新的な新商品や、収益機会の強化にもつながります。さらに重要なことに、Elasticを使用して適切にパーソナライゼーションを実施すると、その先にある“信頼の獲得”というステップへの道が開かれます。
金融サービス業界の価値創出を支援するElasticのサービスについて詳しくは、ポジショニングペーパーをダウンロードしてご覧ください。