Elastic Cloudに、リージョンとクラウドサービスプロバイダーを横断する検索・複製機能が登場
Elastic Cloudのクラスター横断検索、およびクラスター横断レプリケーションを一般公開いたしました。
この2機能を使うと、異なるリージョンやクラウドサービスプロバイダーにある複数のクラスターを横断して、グローバルにデータを検索、複製できます。具体的には、次のようなメリットをもたらします。
- 可用性の向上
- グローバルにデータ検索を実行
- レイテンシーを軽減し、データ地域性の問題を解決
さっそく、2つの機能についてもう少し詳しくご説明します。
インサイトをスピーディーに生み出すクラスター横断検索
クラスター横断検索は、複数のリージョンとクラウドサービスプロバイダーのリモートクラスターを検索する機能です。リージョン間を分断するデータサイロが消えることにより、インサイトをよりすばやく入手できます。具体的には、次のメリットがあります。
・ データを1つの全体像で捉える:クラスターの物理的な場所を問わず、複数のクラスターを横断して検索を実行し、可視化やダッシュボード、機械学習ジョブを構築できます。
・ オブザーバビリティとセキュリティデータを手軽に管理、分析する:競合するワークロードを分離すると同時に、複数のクラスターを横断して検索できます。またクラスターを個別にスケールさせてアクセスを詳細に制御し、さらに分析の高速化を図ることも可能です。
クラスター横断検索について詳しくは、Elasticのドキュメントをご覧ください。
ユーザーエクスペリエンスを向上させるクラスター横断レプリケーション
クラスター横断レプリケーションは、クラスターの場所を問わず、複数のクラスターを横断してデータを複製し、コピーを格納する機能です。この機能は、次のようなシナリオで大きなメリットをもたらします。
・ 災害復旧:1つのリージョン(またはクラウドプロバイダー)全体のサービス停止が発生した場合でも、別のリージョンやクラウドプロバイダーに複製されているデータを活用することにより、稼働停止することなく検索リクエストの処理を継続できます。
・ データのローカル性:データをユーザーにより近い場所におくことでレイテンシーを抑制し、応答時間を短縮できます。
クラスター横断レプリケーションについて詳しくは、Elasticのドキュメントをご覧ください。
Elastic Cloudで、クラスターを手軽に設定
クラスター横断検索とクラスター横断レプリケーションを活用するには、Elastic Cloudのアカウント内でクラスター間の信頼が確立されている必要があります。クラスターが検索や複製の対象となる他のクラスターの証明書を信頼するよう、Elasticsearchの各クラスターを個別に設定する必要があります。Elastic Cloudを利用すると、面倒な作業はすべてElasticに任せることが可能です。複雑な設定作業ではなく、ビジネスの成果を向上させる取り組みに集中できます。
クラスター間の信頼のレベルは、お使いのアカウントで次のオプションを使用し、簡単に管理できます。
- [Trust all deployments](すべてのデプロイを信頼):デフォルトで、アカウント内のすべてのデプロイが相互に信頼します。このオプションの設定後に作成される新規のデプロイにも適用されます。
- [Trust no deployment](すべてのデプロイを信頼しない):すべてのデプロイが信頼されません。
- [Trust specific deployments](特定のデプロイを信頼):既存のデプロイのリストから、信頼するデプロイを指定します。このオプションはデプロイ単位で適用され、アカウント全体には適用されません。
使いはじめる
このウォークスルーアニメーションは、Elastic Cloudコンソールで信頼を設定する手順を示しています。例として、ここでは2つのデプロイがあるケースを取り上げます。1つがGoogle Cloud Platform US Central 1(アイオワ)リージョンのrad-app-logs というデプロイ、もう1つはAzure North Europe(アイルランド)にあるcentral-loggingというデプロイです。
はじめにcentral-loggingデプロイの設定を行って、アカウント内のすべてのデプロイを信頼する設定にします。この手順により、アカウント内のすべてのデプロイを横断して検索することが可能になります。
- デプロイのリストで[central-logging]を選択し、[Security](セキュリティ)ページに移動します。
- [Trust management](信頼の管理)セクションで、[Edit](編集)を選択します。
- 表示されたオプションのうち、[Trust all deployments](すべてのデプロイを信頼)にチェックを入れて、[Update trust](信頼をアップデート)をクリックします。
次にrad-app-logsデプロイの設定を行ってcentral-loggingデプロイを信頼する設定にします。
- [rad-app-logs]を選択し、[Security](セキュリティ)ページに移動します。
- [Trust management](信頼の管理)セクションで、[Edit](編集)ボタンを選択します。
- アカウントに存在するデプロイのリストで[Trust specific deployments](特定のデプロイを信頼)を選択し、[central-logging ]を指定した後、[Update trust](信頼をアップデート)をクリックします。
- 同じ[Security](セキュリティ)ページの[Remote cluster parameters](リモートクラスターパラメーター)セクションにある[Proxy address](プロキシアドレス)と[Server name](サーバー名)をコピーします。この情報は、rad-app-logsをリモートクラスターとして設定する手順で必要となります。
いよいよrad-app-logsをcentral-loggingデプロイ内のリモートクラスターとして設定します。
- [central-logging]Kibanaインスタンスを開きます。
- [Stack Management](スタックの管理)以下にある[Remote Clusters](リモートクラスター)ページをひらきます。
- [Add remote cluster](リモートクラスターを追加)を選択します。
- 名前を設定し、フォームに入力します。このケースでは、デプロイ名にrad-app-logsを使用します。また先ほどの手順でコピーしたProxy address(プロキシアドレス)とServer name(サーバー名)の値をそれぞれのフィールドに入力します。
- 必要に応じて追加の設定を適用してから、[Save](保存)をクリックします。
これでデプロイ間の信頼の設定が完了しました。central-loggingクラスターを使用して、rad-app-logsや、その他のリモートクラスターを横断してデータを検索できます。また、central-loggingデプロイにフォロワーインデックスを設定して、rad-app-logsデプロイからデータを複製することも可能です。