ソフトウェアライセンスに関するFAQ
2021年、7.11のリリースに伴い、ElasticsearchとKibanaのApache 2.0ライセンスソースコードをServer Side Public License(SSPL)とElastic Licenseのデュアルライセンスに移行し、ユーザーは適用するライセンスを選択できるようになりました。2024年9月、SSPLおよびElasticライセンスに加えて、オープンソースイニシアチブ(OSI)承認のAGPLv3ライセンスを追加します。これにより、コミュニティとお客様は、適切なライセンスを選択してオープンソースにアクセスし、コードの使用、修正、再配布、コラボレーションを行うことができるようになります。また、Elasticのリリースは今後もElastic Licenseの下に提供されます。
ライセンス変更の概要
2021年の変更点を簡潔にまとめていただけますか?
ElasticsearchおよびKibanaのApache 2.0ライセンスソースコードは、SSPL 1.0とElastic License 2.0(ELv2)のデュアルライセンスに変更され、ユーザーはどちらのライセンスを適用するかを選択できるようになりました。直近3年間と変わらず、Elasticのデフォルト配布パッケージは引き続きElastic License 2.0に基づいて提供され、Apache 2.0ライセンスに基づく配布は今後行われません。
Elasticがこの変更を実施する理由は?
私たちはオープンソースの精神と、オープンソースライセンスがコミュニティのソースコードに対する権利にもたらす明確さを信じています。そのため、OSI承認のオープンソースライセンスをElasticsearchおよびKibanaに復活させることに胸を躍らせています。
2021年、私たちは、市場の混乱のリスクを軽減する方法として、ElasticsearchとKibanaのソースコードのオープンソース部分をOSI未承認のソフトウェアライセンス(SSPLとElastic License v2)に移行するという難しい決断を下しました。過去3年間、この変更によりリスクが軽減されました。また、それ以降の当社のイノベーションは拡大し、差別化、パフォーマンス、機能強化に大きく貢献しています。現在ではSSPLに加えてAGPLをオプションとして追加することに自信を持っています。詳細については、リリースに関するブログをご覧ください。
Elastic License 2.0とは?
Elastic License 2.0はElasticsearchおよびKibanaの配布と、無料および有償のソースコードに適用されます。Elv2を通じた当社の目標は、製品とブランドの悪用を保護すると同時に、可能な限り寛容なライセンスの実現です。ELv2の詳細については、こちらのFAQをご覧ください。
ユーザーだけど、このライセンス変更が与える影響は?
Elasticが提供するElasticsearchやKibanaのデフォルト配布パッケージをダウンロードしてお使いの場合、お客様に何も影響はありません。過去約3年間と同様に、Elasticのデフォルト配布パッケージは引き続きElastic License 2.0の下でオープンソースとして提供されます。Elasticsearchを使ったアプリケーションを開発されている場合、お客様に何も影響はありません。Elasticのクライアントライブラリは引き続きApache 2.0の下にライセンス提供されます。ElasticsearchやKibanaで各種プラグインをお使いの場合、お客様に何も影響はありません。
ElasticsearchやKibanaのコントリビューターには、どんな影響が生じる?
ありがとうございます。コードのライセンスがSSPL、AGPL、Elastic Licenseかに関わらず、これまで同様にElasticsearchやKibanaへのコントリビューションを行っていただくことができます。コントリビューションの方法について詳しくは、弊社のコントリビューターガイドをご覧ください。
有償のユーザーやパートナーに、どんな影響が生じる?
Elastic Cloudまたはセルフマネージドのサブスクリプションを通じてElastic製品をご利用のお客様・パートナー様には、何も影響はありません。
Elasticsearchを組み込んだアプリを開発・再配布しているけど、どんな影響が生じる?
当社のディストリビューションをご利用の場合、何も変更はありません。ELv2の制約に従っている限り、お客様のSaaSまたはセルフマネージドアプリケーション内でElasticsearchを自由に使用し、アプリケーションと共に再配布することができます。ELv2の完全なライセンステキストと追加の詳細については、こちらのFAQをご覧ください。
ソースコードを使用している場合は、ニーズに最も適した契約条件のセットを選択できます。各ソースファイルのヘッダーには、適用可能なライセンス (ELv2、SSPL、近日AGPLv3) が明確に示されており、 license.txtファイルには、オプションを簡単に理解できるように、ソースコードのレイアウト方法が説明されています。
デュアル/トリプルライセンスの仕組みって?
当社のディストリビューションをご利用の場合、何も変更はありません。これまでの約3年間と同様、Elasticのデフォルト配布パッケージは引き続きELv2でリリースされます。したがって、ソースコードを直接使用していないユーザーの場合、この変更による影響はありません。
ソースコードを使用している場合は、ニーズに最も適した契約条件のセットを選択できます。各ソースファイルのヘッダーには、適用可能なライセンス (ELv2、SSPL、近日AGPLv3) が明確に示されており、 license.txtファイルには、オプションを簡単に理解できるように、ソースコードのレイアウト方法が説明されています。
トリプルライセンス戦略を採用する理由は?
当社は、お客様に選択肢を提供するために、既存のソースコードライセンスオプションは削除しないことを決定しました。当社のユーザーとお客様の大半は、Elastic License 2.0に基づいて当社のディストリビューションを使用していますが、SSPLまたはElastic License 2.0に基づいてソースコードにアクセスし、使用するユーザーもいます。これらは問題ありませんが、有名なOSI承認のオープンソースライセンスに固有の明確さと確実性を好むユーザーのために、当社は別のオプションとしてAGPLを追加することを選択しました。
SSPLとは?どのように行使できる?
SSPLはMongoDBが作成したsource-available license(ソース利用許諾)です。MongoDBはオープンソースの理想を体現し、また製品をサービスとして第三者に提供する場合は、あらゆる修正、ならびに管理レイヤーのソースコードをSSPLの下にパブリックにリリースするというシンプルな要件に基づいて、無料かつ無制限に使用、修正、再配布を可能とするライセンス開発を目指しました。
詳しくは、MongoDBが公開しているFAQをご覧ください。Elasticはこの件について、弁護士によって執筆された以下のブログ記事を見つけました。記事をシェアすることでお手伝いできればと考えています。
https://www.coss.community/coss/sspl-re-takes-the-stage-in-2021-2koa
https://writing.kemitchell.com/2021/01/20/Righteous-Expedient-Wrong.html
Elasticsearchをバックエンドで使用するSaaSアプリを開発しているけど、どんな影響が生じる?
今回のソースコードのライセンス変更はお客様に一切影響しません。Elastic Licenseに基づいて、デフォルトの配布パッケージを使用できるほか、このパッケージをベースに無料でアプリケーションを開発することもできます。Elastic Licenseはsource-available license(ソース利用許諾)であり、コピーレフトの側面を持たず、デフォルトの機能を無料とします。具体的な例として、Magentoに関する質問への回答をご覧ください。
この変更の適用対象となるバージョンはどれ?
この変更はソースコードのみに影響します。Elasticは今後もElastic Licenseに基づきオープンソースでリリースを提供します。SSPLとElastic License 2.0を導入するためにApache 2.0から移動した2021年の変更は、7.11のリリース直前に適用されました。SSPLに加えてAGPLv3が追加された2024年の変更は、8.16のリリースが一般公開される前に行われる予定です。
ElasticsearchとKibana以外の製品にもライセンス変更は影響する?
いいえ。このライセンス変更は、ElasticsearchとKibanaに限り適用されます。他の製品群への影響はありません。
これはElasticsearchとKibanaがまたオープンソースになるということ?
はい!AGPLv3はOSI承認のオープンソースライセンスであり、Elasticsearch とKibanaのソースコードの大部分に適用されます。詳細については、リリースに関するブログをご覧ください。
Elasticは今後もオープンソースソフトウェア開発を継続するの?
Elasticがオープンソースの原則にコミットする姿勢は、何一つ変わっていません。Elasticはこれまでと同様、これからも透明性とコラボレーション、コミュニティに重点を置いて活動します。ElasticsearchとKibana以外でも、Elastic Common Schemaなどの規格も含め、多数のElasticの製品とプロジェクトは引き続きApache 2.0のライセンス下に置かれます。またElasticはこれまでApache LuceneやOtel、その他のプロジェクトについて行ってきたように、今後も変わらず他のオープンソースプロジェクトへのコントリビューションを継続します。
クラウドプロバイダーが提供するサービスとしてのElasticsearchを使っているけど、この変更の影響は?
この変更以降にリリースされるバージョンのElasticsearchやKibanaをパブリッククラウドプロバイダーが提供するには、SSPL、AGPLv3またはElastic Licenseに準拠する必要があります。
API経由でElasticsearchを使っているけど、この変更の影響は?
この変更は、Elasticsearchにアクセスするクライアントの使用方法に影響しません。当社のクライアントライブラリは、引き続きApache 2.0に基づきライセンスが適用されます。
ご質問がおありの場合は、elastic_license@elastic.coまでお問い合わせください。
ElasticsearchやKibana向けプラグインを開発しているけど、この変更の影響は?
この変更は、ユーザーによるElasticsearchまたはKibanaのプラグイン開発、またはライセンス提供に影響しません。 疑義を避けるために明記すると、ElasticsearchやKibanaで使用されるプラグインの開発は派生製品(二次的著作物)に相当せず、ユーザーが開発したプラグインのソースコードをライセンス提供する方法に一切影響しません。
ご質問がおありの場合は、elastic_license@elastic.coまでお問い合わせください。
Microsoft、Google、Alibaba、およびTencentとのパートナーシップに関して、この変更の影響は?
影響はありません。Elasticはパブリッククラウドプロバイダー各社と業務上のポジティブで強固な関係性を構築しており、今後も提携を継続します。Elastic CloudはMicrosoft、Google、AWSおよびこれらすべてのケースにおいてご利用いただくことができ、Elasticはパブリッククラウドプロバイダー各社のマーケットプレイスエコシステムの一部となっています。これらの関係は影響を受けません。
AWSとのパートナーシップに関して、この変更の影響は?
AWS MarketplaceのElastic Cloudリスティングを通じてAWSと密接なパートナーシップを構築し、Elastic CloudをAWS上で最高のElasticsearch・Kibanaマネージドエクスペリエンスとするため、その関係性に継続して投資しています。当社は、2023 AWS Rising Star Partner of the Year Awardも受賞しています!同様に、Elastic CloudがElasticsearchを使用する最良の方法であることを保証するために、Google CloudおよびMicrosoft Azureと強力な関係を構築しました。
Kibanaではなく、自作のアプリでEUIやElasticチャートを使っているけど、この変更の影響は?
そのアプリが1つのマネージドサービスとして供与されるものでなければ、一切の影響はありません。詳しい説明をご希望の場合や、さらにご質問がおありの場合は、elastic_license@elastic.coまでお問い合わせください。
自作のKibanaプラグインでEUIやElasticチャートを使っているけど、この変更の影響は?
Elasticは、コミュニティによるKibanaプラグインの作成を積極的に支援しています。今後もEUIやElasticチャートを使ってKibanaプラグインの開発を続けていただくことができます。さらにご質問がおありの場合は、elastic_license@elastic.coまでお問い合わせください。
変更履歴
- 2024年8月29日:ソースコードライセンスオプションとしてのAGPLの導入を反映するため、FAQを大幅に更新。
- 2021年12月21日:新しいJava APIクライアントの詳細を更新
- 2021年6月7日:EUIとElastic Chartsのライセンスに関する2つの質問を追加
- 2021年2月2日:Elastic License v2(ELv2)のアップデートを反映した複数の全体的な変更を実施
- 2021年1月26日:「SSPLとは?どのように行使できる?」の回答内容を追加して明確化。
- 2021年1月18日:明確化と一貫性向上のため、「Elasticsearchを組み込んだアプリを開発・再配布しているけど、どんな影響が生じる?」と「ElasticsearchやKibanaの修正バージョンを自社製品に組み込んでいる場合、どんな影響が生じる?」の項目を統合。
- 2021年1月17日:付加的なコンテクストを提供するため、「Elasticsearchを組み込んだアプリを開発・再配布しているけど、どんな影響が生じる?」の質問を公開。Q&A「どのような使い方をすると、SSPLが定める『製品をサービスとして提供する』行為に該当する?」を公開。
- 2021年1月15日:「デュアルラインセス戦略を採用する理由は?」、「Elasticsearchをバックエンドで使用するSaaSアプリを開発しているけど、どんな影響が生じる?」、および「AWSとのパートナーシップに関して、この変更の影響は?」を公開。
2024年の変更点を要約していただけますか?
現在、Elastic License 2.0(ELv2)とSSPL 1.0で提供されているElasticsearchとKibanaのソースコードの無料でご利用いただけるオプションとして、OSI承認のオープンソースライセンスであるAGPLv3を追加します。この変更により、このソースコードはSSPL 1.0、AGPLv3、Elastic License v2のもとで利用可能になり、ユーザーはソースコードにアクセスして利用する際にどのライセンスを適用するか選択できるようになります。
AGPLって何?
AGPLv3は OSI承認のオープンソースライセンスです。ソースコード自体および同じライセンスの下で利用可能な派生製品に変更を加えるというシンプルな要件で、ソースコードを自由で制約なしに使用、修正、再配布することができます。