Elastic Stack 7.17をリリース
Elastic Stack 7.17は7.xシリーズの最終バージョンとしてリリースされ、8.0以降へのアップグレードを支援する最新のアップグレードアシスタントを搭載しています。ユーザーが利用するElasticソリューションの数を問わず、この最新バージョンは最高水準の検索、分析、可視化機能、および、実践的なワークフローを提供します。
Elasticは、マネージドのクラウドサービス(およびセルフマネージドのデプロイ)を活用するユーザーのために、Elastic Stackのパフォーマンスやスケーラビリティ、スピードを継続的に向上させています。主な新機能は、次の通りです。
- 高性能な最新のアップグレードアシスタントがElasticsearchとKibanaの非推奨設定に対してガイダンスを提供し、可能な場合に自動のシステム修復を実行するほか、必要に応じて手動での修復指示を提示する。
- パフォーマンスとスケーラビリティの強化。
- 従来CentOS 8を使用していた全プロダクト向けの、Dockerイメージアップデート。Red HatによるCentOS 8へのサポート終了に伴い、ElasticはElastic 7.17よりDockerイメージへのCentOSの使用を終了。Elastic 8.0以降は、ElasticプロダクトとCentOS 8間のOS互換性のサポート終了を予定。
Elastic Stack 7.17の新機能はすべて、Elasticが最新リリースを提供する唯一のマネージドサービス、Elastic Cloudで今すぐ使いはじめることができます。またElastic Stackをダウンロードして、あるいはクラウドオーケストレーションプロダクトとして提供されるElastic Cloud EnterpriseやElastic Cloud for Kubernetesを活用して、セルフマネージドでお使いいただくことも可能です。
∞の可能性を開放するアップグレード
アップグレードする理由
Elastic 8.0は、Elastic Stack史上最も高パフォーマンスで、スケーラブル、安全、高速なバージョンとなります。その主要な一部として、ベクトル検索や近似最近傍(ANN、Approximate Nearest Neighbor)探索、最新のNLP、シンプル化されたスタックセキュリティなどの新機能の登場が予定されています。アップグレードアシスタントを搭載する7.17へアップグレードすることにより、将来の8.0への移行作業がスムーズになります。
Elastic 7.xシリーズの締めくくりとして、本記事は過去数年間にElasticがリリースした機能向上の内容を振り返りつつ、8.xシリーズに予定されている大幅な進化についても触れています。8.xで登場が予定されているエキサイティングな機能の概要にぜひご注目ください。新機能については、8.0ベータのブログ記事にプレビューが公開されているほか、オンプレミスで実際にお試しいただくこともできます。
心強い味方、“アップグレードアシスタント”
アップグレードアシスタントは5.xより導入されていますが、7.17リリースでは、その性能をさらに強化しました。Kibanaに表示されるガイダンスエクスペリエンスを通じて、ユーザーは7.17から8.xへのアップグレードに必要な手順をチェックできるほか、ElasticsearchとKibanaの非推奨設定を確認したり、自動の設定変更を含む修復オプションを検討したりできます。アップグレードアシスタントを使用するには、最新情報を搭載するバージョン7.17にアップグレードする必要があります。
非推奨設定への対応手段を拡充
アップグレードアシスタントを起動すると、Elasticsearchと(あてはまる場合は)Kibanaの非推奨設定リストが表示されます。非推奨設定は[Critical](クリティカル)と[Warn](警告)の2つの区分で表示され、前者の場合はアップグレードの前に解決する必要があります。Elasticsearchに非推奨の設定が見つかると、アップグレードアシスタントが非推奨のクラスター、ノード、インデックス構成設定を表示します。また緩和策として再インデックスの実行が必要となる場合、再インデックスでデータに生じる変更の概要を示します。ユーザーは再インデックスを実行する前に変更内容を確認し、承認してから手順を進めることができます。
広範な修復オプション
アップグレードアシスタントは再インデックスをアシストするだけでなく、非推奨設定の内容に応じて複数の修復オプションも提示します。Elasticsearchで非推奨となる設定など、非推奨化される一部の項目について、アップグレードアシスタントはユーザーに関連する非推奨設定を表示します。ユーザーはこの表示を確認し、[Remove deprecated settings](非推奨設定を削除)のアクションを実行してこの問題をすぐに解決することができます。Kibanaでも同様に、一部の設定で[Quick resolve](すぐに解決)アクションが提供されます。手動での対応が必要となるその他の非推奨設定に関して、アップグレードアシスタントは基本的な情報と、ドキュメントへのリンクを表示します。
アプリに使用される非推奨のAPI機能のアップデート
アップグレードアシスタントはElasticsearchで非推奨化されるログの確認もサポートしており、ユーザーは非推奨のAPIの使用を確実に回避できます。アップグレードアシスタントに新たに搭載されたロギングチェックポイント機能を使用して、ユーザーは前回のチェックポイント以降に生成された非推奨のログの数を追跡し、非推奨化に関連する修正が正常に動作しているか監視できます。
その他のアップグレードリソース
8.xへのアップグレードに関して、付加的なヘルプやリソースをお探しの場合は、ウェビナー「Elastic Stack’s Upgrade to 8.0」(Elastic Stackの8.0へのアップグレード)をご覧ください。またElasticON Global 2021に登壇したCJ・セニザルによる、アップグレードアシスタントに関するトークをご視聴いただくこともできます(本トークでは7.17アップグレードアシスタントのプレビューバージョンが使用されており、多少の相違が見込まれる点にご注意ください)。
パフォーマンスとスケールのさらなる向上
重複排除によるパフォーマンスとスケールの強化
インデックスにはかならずマッピングと設定が存在しています。この設定には、それぞれのインデックスに関連するフィールドの定義と構成のリストが含まれます。時系列データのインデックスでは、同じインデックスパターン(データストリーミング)を持つ複数のインデックスに、まったく同じ設定とマッピングが存在する、というのが一般的です。7.16以前は、インデックスごとに個別に同一の設定とマッピングが格納されていました。この場合、インデックス数が増加するほど、データノードにデータストラクチャーを格納するためのヒープサイズも大きくなります。
そこで7.17では、重複排除を導入しました。複数のインデックスに使用される同一のマッピングや設定を1セットに減らすことができます。たとえばAuditbeatインデックスが10,000個あるとき、7.16以前では設定が重複しており、ヒープサイズで約500MBが消費されていました。同じインデックスに設定重複排除機能を導入すると、そのクラスターのノード1本が消費するヒープサイズは1MBにまで下がります。 この結果、すべてのノードにブロードキャストするために必要となるクラスター状態の要件が引き下げられ、クラスター運用上のパフォーマンスとレジリエンシーも改善します。
CentOS 8のサポート終了
CentOS 8へのサポート終了に伴い、ElasticはUbuntu 20.04に従来使用されていたすべてのプロダクトのDockerイメージをアップデートしました。また同じ理由で、CentOS 8上でElastic 7.17を実行することは推奨されません。ただし、Elastic 8.0リリースまでの間はサポート対象です。Elastic 8.0リリース時点で、ElasticはCentOS 8へのサポート終了を予定しています。
試してみる
Elastic Cloudをご利用のお客様は、ご紹介した機能にElastic Cloudコンソールから直接アクセスしていただけます。Elastic Cloudの導入をご検討中の方は、導入に最適な短いトレーニングビデオ「Quick Start guides」(クイックスタートガイド)や、Elasticが提供する無料の基礎コースをご利用いただけます。Elasticは、Elastic Cloudの14日間トライアルを常時ご用意しています。また、セルフマネージド版のElastic Stackを無料でダウンロードしてお使いいただくこともできます。
ご紹介した機能について詳しくは、以下のElastic Stack 7.17リリースノートをご覧ください。
7.17.0リリースノート
Elastic Stack
Elasticエンタープライズサーチ
Elasticオブザーバビリティ
Elasticセキュリティ
本記事に記述されているあらゆる機能ないし性能のリリースおよびタイミングは、Elasticの単独裁量に委ねられます。現時点で提供されていないあらゆる機能ないし性能は、すみやかに提供されない可能性、または一切の提供が行われない可能性があります。