ログ監視とは?
ログ監視の定義
ログ監視とは、さまざまなソースからログデータを収集して分析し、対応するプロセスです。監視対象は、アプリケーションやインフラストラクチャー(コンピューター、ネットワーク、ストレージ)です。開発者や運用チームがログを監視する目的は、システム内の異常や問題を検知してできるだけ効率的に問題のトラブルシューティングを実行できるようにすることです。
パフォーマンス、可用性、セキュリティを保証するために、開発者やエンジニアリングチームはログを継続的に監視する必要があります。ログ監視と呼ばれるこのプロセスは、ログが記録されるとリアルタイムで実行されます。
メトリックやトレースとともに、ログ監視はオブザーバビリティの重要な要素です。ログ監視を活用することで、企業は顧客やその他のユーザーに影響が及ぶ前に問題を検知し、対処や解決ができるようになります。ログ監視は堅牢なログ管理ソフトウェアと同様に、企業に不可欠なものです。
ログとは何ですか?
ログデータは、さまざまなシステムやアプリケーションが実行されるときに生成される情報です。システムイベント、エラーメッセージ、パフォーマンスメトリック、ユーザーアクティビティなどがあります。たとえば、ログによって障害の内容と発生時間がわかるため、コード内のエラーを見つけ出して問題のトラブルシューティングを実行できます。各ログにはタイムスタンプが付与されており、特定の時点に発生したイベントが示されています。
ログを見ると、オペレーティングシステムで発生したイベント(接続試行、エラー、設定変更など)がわかります。このようなタイプのログはシステムログと呼ばれます。
対照的に、アプリケーションログには、アプリケーションソフトウェアスタック内、特に専用のプロキシ、ファイアウォール、その他のソフトウェアアプリケーションで発生したイベントに関する情報が示されています。このようなタイプのログには、ソフトウェアの変更、CRUD操作、アプリケーション認証などが記録されます。
ログ監視にはどのような歴史がありますか?
ログ監視には長い歴史があります。現在、ほとんどの開発者が、オブザーバビリティツールに頼ってログ監視のニーズに対応しています。しかし、過去には手動でログを確認していました。Unixが登場して間もない頃、開発者はテキストと検索ツールを使用してログファイルを確認していました。
手作業でのログ確認はもはや現実的な選択肢ではありません。データ量が大きくなりすぎていて、人間が理解することは不可能です。チームはログをすぐに確認して、業務が停滞する前に問題を解決する必要があります。幸いなことに、生成されるログが増えれば増えるほど、業界もログ監視の自動化に向けて大きく前進しています。
現在では、ログ監視を効率的に実行できるさまざまな堅牢なツールが利用されています。最新のシステムでは相互に依存するアプリケーションが複雑に絡み合っており、そのすべてを把握する必要があるため、このようなツールが必要不可欠です。ログ監視ツールは、今では統合データストレージや自動化にも対応しているため、分散型クラウドアプリを使用する組織にとっては非常に重要なものとなっています。
ログ監視はなぜ重要なのですか?
システムやアプリケーション内のイベントログを確認したり監視したりすることが、それほど大きな影響を及ぼすとは思えないかもしれません。すべてがスムーズに実行されている場合はなおさらです。しかし、ログファイルの効率的な監視は、組織に非常に大きな効果をもたらします。
問題が発生した場合、チームはログを調査/確認して特定のイベントやインスタンスを正確に指摘できなければなりません。異常が特定されたら、問題のトラブルシューティングを実行して、システムを常に安全に保ち、エンドユーザーがいつもシームレスなエクスペリエンスを得られるようにする必要があります。
堅牢なログ監視がなければ、チームは情報を得られず、システムやアプリケーションのパフォーマンス/可用性を監視できず、優れた顧客エクスペリエンスを提供できません。また、クラウドアプリケーションの分散特性により、きわめて複雑で危険性の高い状況に陥ります。非常に多くのデータが流れる中、ビジネスをうまくコントロールするためには堅牢なログ監視が必要です。
ログ監視にはどのようなメリットがありますか?
ログ監視が重要なことは明らかですが、エンタープライズ規模の場合においては特に重要です。企業は大量のログデータを処理および生成する傾向があります。データ量が増加すると、堅牢なログ監視が必要になるだけでなく、ポジティブな顧客エクスペリエンスを提供するためにログ監視でシステムやアプリケーションのパフォーマンス/可用性を監視する必要があります。
ここで、エンタープライズログ監視の主なメリットをいくつか紹介します。
データを一元化して業務全体を可視化
現在のログ監視ツールでは、一元化されたエクスペリエンスが提供されています。開発者は、1か所ですべてのシステムログやアプリケーションログを監視できます。この一元管理アプローチによって、開発者はさまざまなシステムを詳しく調べなくてもシステム運用状況をすぐに把握できます。すべてが1か所にまとめられているため、より迅速で効率的な対応が可能となり、時間とリソースを節約できます。
インシデント対応までの時間を短縮
一元化されたソリューションでログを自動的に監視して閲覧できれば、ログの確認や問題の検知がさらに容易になり、あらゆるインシデントにすみやかに対応できるようになります。エンドユーザーにとって速やかな対応は重要です。インシデントがユーザーに影響を与えることは誰も望んでいません。また、セキュリティの観点からも重要です。侵害や脆弱性があれば、即座にトラブルシューティングを実行してリスクを減らす必要があります。
自動化して時間を節約
多くのデータが生成される中で、企業には増え続けるログが溢れ、ログの解析が非常に困難になっています。ログ監視ツールを使用すると、ログを監視できるだけでなく、自動的に問題にフラグを立てたり修正したりできます。常に改善されているこのような自動化機能を活用することで、多忙なチームの時間を大幅に節約できます。
オブザーバビリティ運用とセキュリティ運用に同じログを使用
ログ監視を一元化すると、複数の目的に使用できます。現代の企業では、オブザーバビリティ運用とセキュリティ運用に同じログを使用してワークフローを合理化し、複数のツールを使い分ける時間を削減できます。
ログ管理の課題は何ですか?
数十年にわたってログを監視しているにもかかわらず、多くの組織は断片的にログ監視を行っており、従来のアプローチやレガシープラットフォームに依存しています。しかし、データ量の増加に伴い、企業が競争力を維持するためには困難なデータ管理が必要になったため、新たなログ監視ツールの導入が急務です。
ここで、ログ監視を実行するうえで最大の課題をいくつか紹介します。
かつてないほどの複雑さ
テクノロジーはますます複雑化し、これまでになく多くのデータが作成、処理、格納されています。クラウドの台頭により、仮想/一時オブジェクトから仮想ログが生成されるシステムが増えました。このように、ログやデータが増加し、ログ監視がより困難になっています。企業には、すべてをふるいにかけるための効果的で堅牢なツールが必要です。
ログの量の増加とさまざまなフォーマット
ログの量は急激に増加しているうえ、さまざまな形式のログがあります。多種多様なシステムでログが生成されており、共通のフォーマットがないため構造化ログもあれば非構造化ログもあります。そのため、オブザーバビリティの専門家はログの意味を読み解かなければならず、かなりのリソースが必要です。組織は、ログを効果的に監視するために、標準化されたフォーマットを作成する必要があります。
レガシーデータのサイロ
多くの企業が、一元的なシステムではなく分散型システムを使用して運営を続けています。このアプローチでは、ボリュームの増加によるコストの負担が大きいだけでなく、開発者や運用チームの余計な仕事も増えます。データを一元化すると、効率を向上できます。
手動で断片的なレガシーアプローチ
ログ監視プラットフォームは大きな発展を遂げていますが、その多くのアプローチが手作業を要求しています。このような手作業のアプローチは時間を消費してヒューマンエラーを起こしやすいだけでなく、多くの場合はその時代遅れな処理方法が組織を危険にさらします。また、手作業のアプローチは断片的でもあり、問題が検知されないことがあります。
ログ監視のユースケース
ログは、多くのさまざまなシステムやデバイスで生成されます。企業では、以下のような用途でログ監視がよく使用されます。
ネットワーク監視
ファイアウォール、スイッチ、ルーター、ロードバランサーのようなネットワークデバイスによってログが生成され、そのログを監視する必要があります。
インフラ監視
インフラのログ監視では、仮想マシン、AWSやAzureのようなプラットフォーム、Kubernetesなどのコンテナープラットフォーム、サードパーティデータソース、オープンソースソフトウェアなど、オンプレミスとクラウドのソリューションを追跡します。
アプリケーションの監視
アプリケーションのログ監視では通常、(1)エンドユーザーが最終的に利用するものと(2)分散型アプリケーション内のサービスという2種類のアプリケーションに対応します。アプリケーションのパフォーマンスは顧客エクスペリエンスに影響する可能性があるため、アプリケーションの監視は重要です。たとえば、サービスがダウンすると、顧客がサイトやアプリから離れてしまう可能性があります。データベースもアプリケーションと見なされます。
コンプライアンス
企業は、特定の種類のデータを保存することが法的に義務付けられています。コンプライアンスを守るために、ログデータを一定期間保存する必要があります。そうすることで、インシデントが発生した場合にこれまでの記録を確認できます。
ログ監視ソリューションを選ぶ際に考慮すべきポイント
ログ監視を実行する企業には、チームの生産性と効率を高めるプラットフォームが必要です。ここで、ログ監視ソリューションを選ぶ際に考慮すべきポイントをいくつか紹介します。
一元化されたデータ
タイプもソースも異なるログが大量にあるため、データを一元化できるプラットフォームを選択する必要があります。一元的なビューがあると、ログデータを解析しやすくなり効率も上がります。
実用的なアラート
エラー条件やパターンマッチングの検知は、最初の一歩にすぎません。ログ内の異常に効果的に対処して警告する機能がログ監視には不可欠です。効果的なプラットフォームは、ログ監視アラートをフィルタリングして優先順位を付け、IT運用チームが今すぐ対応および調査しなければならない問題を特定する必要があります。AIOpsや機械学習を監視に利用できると、エンドユーザーのアラートに対する関心低下を最小限に抑えることができます。
費用対効果またはROIの高さ
最も安価だというだけでツールを選ぶのではなく、費用対効果やROIの高いプラットフォームが必要です。コストを分析して、検討中のログ監視ソリューションのメリットとデメリットを評価すると効果的です。
ログ監視だけではない総合的なオブザーバビリティソリューション
ログ監視は、オブザーバビリティの1つの構成要素にすぎません。最大限の価値を得るために、フルスイートのオブザーバビリティソリューションを提供するプラットフォームを探すことをお勧めします。ログ監視は1つの要素を提供するにすぎません。
ログ監視に関するFAQ
ログ監視についてさらに詳しく
ログ監視とログ分析の違いは何ですか?
ログ監視とログ分析は密接に関連しており、連携してシステムをスムーズに稼働させます。ログ監視ではログの追跡や監視を行いますが、ログ分析ではチームが取るべき最善策を理解できるようにより多くのコンテキストを提供します。
ログ監視のベストプラクティスとは何ですか?
大規模にログ監視を実行する組織には、ログ管理を一元化するエンタープライズシステムが必要です。このシステムは、複雑なシステムで生成された大量のログを管理する必要があります。また、多層アプローチでログを処理して運用コストを削減します。
Elasticによるログ監視
ログ監視のリーダーとして認知されているElasticオブザーバビリティ(ベースはElasticsearchエンジン)は、パワフルで柔軟性の高いログ監視機能を提供します。オブザーバビリティまたはセキュリティイニシアチブのために、オンプレミスからElastic CloudまでElasticはすぐにスケールできます。そして、ペタバイト規模のログデータを処理して、すみやかにトラブルシューティングを実行できます。Elasticで以下を実現できます。
- ユースケースに合わせた簡単なデプロイ
- データサイズを問わないスケールと信頼性
- チームが好んで使用しているツールとの統合、機械学習機能の搭載
- シンプルなデータティア戦略でコストを削減(使用量に応じた支払い)
- ログ管理の一元化
監視やアラートだけでなく、Elasticの柔軟なストレージ機能によってこれまでのログデータを保存して将来の分析、調査、検出に活用できます。ログ監視は、オブザーバビリティのためでも、セキュリティのためでも、Elasticに一度インジェストすればどこでも活用できます。